貸事務所での立案について考える
貸事務所での会議などは、普段の状況とは異なるようであり、楽しいものだと考えられています。課外授業のような感じなのでしょう。貸事務所を運営する側にもメリットがあるようです。与えられた条件をクリアするためには、いろいろとやらなければならない事柄がたくさんあるのです。周りの状況についてもしっかりと見ることが重要です。
賃貸オフィスの広さは、従業員の人数によって変わって来ます。もちろん、従業員の人数の割に広すぎても構いません。しかし手狭になってしまうと、賃貸オフィスとしての機能が低下してしまう恐れがあります。現実的には、受付スペースや会議室などを含めた場合、従業員一人あたり2坪から3坪程度の広さがあると機能的に活用できるとされています。
改革派官僚として知られ、2008〜2009年に国家公務員制度改革推進本部事務局で関連法改正などを進めてきた経済産業省の古賀茂明氏。その姿勢が評価され、鳩山由紀夫内閣発足当初、仙谷由人行政刷新担当大臣(当時)の補佐官起用が内定したものの、各省から強い反発があったため仙谷氏は断念したとされる。
【画像:経済産業省の古賀茂明氏の『日本中枢の崩壊』刊行記念会見のようす、ほか】
2009年末に国家公務員制度改革推進本部事務局を退任後、経済産業省で大臣官房付という閑職に置かれる中、『週刊エコノミスト』に実名で論文を寄稿、民主党政権の公務員制度改革を批判した。そうして、公務員制度改革の必要性を訴え続けたためか、2010年10月、参議院予算委員会で仙谷由人官房長官(当時)から恫喝を受けたと報じられた。
古賀氏は公務員改革の流れや東京電力の処理策などについて記した『日本中枢の崩壊』を5月20日に刊行、発売1カ月で16万部を超えるベストセラーとなっている。刊行を記念して6月21日に東京・有楽町の日本外国特派員協会で行った会見では、改革を妨げている公務員制度の問題点や、電力会社が各業界を支配する構造について語った。その内容を詳しくお伝えする。
●民主党の政治主導が失敗した4つの理由
古賀 今日お話したいことはたくさんあるのですが、3つに絞ってお話ししたいと思っています。1つ目は民主党が実現したいと言っていた「政治主導」の問題。2つ目は、政治主導と密接にリンクしていますが、私が最近まで取り組んでいた「公務員制度改革」の問題。そして3つ目が「東京電力」の問題、これは日本が抱えている構造問題のすべてが凝縮している問題だと思っています。
最初に1つ目のテーマの政治主導についてお話しします。みなさんに同意していただけると思うのですが、民主党は政治主導を目指しましたが結局はできませんでした、これまでのところは。「なぜ失敗したのか」を私なりに考えてみました。
第一に「民主党は政治主導の意味を間違えたんじゃないか」ということです。当たり前のことですが、政治主導というのは「政治家が官僚を使って政策を実現する」ということですね、自民党時代はそれが逆になっていて、官僚が政治家を使って自分たちの利益を守る政策を実現していました。
それを批判して、民主党は「政治主導を実現する」と言ったのですが、民主党は官僚を使って自分たちの政策を実現しようとするのではなくて、官僚を「自分たちの競争相手だ」ととらえてしまったようです。つまり、官僚と民主党の閣僚が横に並んで競争する、そして「自分たちの方が有能なんだから、官僚を排除して行政を実行しよう」と試みたということだと思います。
2つ目の問題点は「閣僚に政治主導を実行する能力がなかった」ということだと思います。政治主導をやろうとしたら、閣僚にその能力がなくて、従って閣僚が自分で何かをやろうとしたら大きな混乱が起きたということです。これを自覚した人は結局、官僚に頼る道を選びました。気付かなかったところでは混乱が続きました。
仙谷由人さんが官房長官になった時、この問題によく気付いていたと私は思っています。そこで彼は大臣たちに対して、「もうちょっと官僚と仲良くしろ」という指示を出しました。そして、政治主導の大事なところは全部自分で仕切ろうと考えたんだと思います。ただ、1人でそんなことをやるのは不可能なので、実際には財務省を中心とした官僚に頼らざるを得ない状況に追い込まれたと思います。
失敗した理由の3つ目は「有能で信頼できるサポートスタッフがいなかった」ということです。政治家の能力は当然限られますし、1人でできることはそんなに多くないので、いかに自分が信頼できる優秀なスタッフを抱えられるかが重要なポイントになります。しかし、民主党の首相を含めた閣僚は、ほとんどそういうスタッフを持っていませんでした。
そして4つ目、これを言うと望みがなくなるのですが、「首相や大臣がそもそも何をやりたいのかという目的を持っていなかったのではないか」ということです。
●次のリーダーに求められる条件
今、菅直人首相の進退が話題になっていますが、次に新しいリーダーが選ばれるとすれば、そのリーダーや内閣に求められる政治主導を実現するための条件は、こうした失敗した理由から自ずと分かってきます
第1に「リーダーはビジョンを持っている」ということです。これは最小不幸社会とか平成の維新とか第三の開国とか、そういう抽象的なレベルだけではダメです。例えば、小泉純一郎首相の時には彼のスローガンの中に「民間でできることは民間で」というスローガンがありましたが、それは抽象的なレベルだけではなくて、それを象徴する具体的施策として郵政民営化というものがありました。こういうものがセットになっていないといけないと思います。
第2に「リーダーの資質が高い」ということです。これをわざわざ言わないといけないところが問題なのですが。最近、1年ごとに首相が代わっていることもあって、首相になる人が十分な時間をかけて選ばれるという過程がなくなっています。特に民主党の場合は自民党と違って、派閥の中でもまれたり、長い時間政権にいる中でいろんな仕事を経験するということがなかったので、次に選ばれる首相を考えた時、「何によってリーダーの資質がテストされたのか」が非常に不安なところがあります。不安だと言っているだけではしょうがないのですが、いずれにしても、「そのリーダーの資質が本当に高いということを示してもらわないといけない」と思います。
第3に「ビジョンを実現していく具体的で明確な戦略を持っている」ということです。その戦略に基づいて、内閣の閣僚に「実現する方策を考えろ」と指示するので、この戦略がないまま政権について政策を実行しようとすると、今までのような混乱に陥るのではないかと思います。
第4は「非常に優秀な自分のスタッフを持っている」ということです。信じられないことなのですが、首相になってから「誰を集めようか」と考える人が結構いるんですね。そうではなくて、首相になる人はやりたいことがあるわけですから、それを誰を使ってやるのかという考えを事前に持っていないといけません。
●公務員制度を改革しないと、すべてが逆行する
古賀 次に公務員制度改革の話をさせていただきます。まず、「なぜ公務員改革が必要なのか」ということですが、小泉改革でいろんな改革をやりましたが、今になって分かったことは小泉さんが辞めたら、ほとんどの改革がすごいスピードで逆戻りを始めているということです。
それはなぜかというと、小泉さんは公務員制度に手を付けなかったからです。官僚は基本的に今ある仕組みを守りながら、その中で自分たちの利益を確保するという行動をとるので、公務員制度に手を付けないままほかの改革をやろうとしても、結局常にその改革を逆戻りさせようとする力が働いてしまうのです。
では、何をやらないといけないかということですが、公務員制度改革には大きく分けて2つの問題があると思います。1つは公務員バッシングの文脈でよく言われるのですが、「給料を下げろ」「首切りをして人を減らせ」という、コスト削減的な観点での改革です。これももちろん大事なことなのですが、今それよりはるかに重要なことは「官僚が国民のために働くようなインセンティブの構造をもう一度作り直す」ことだと思っています。
そのために必要なことはいくつかあります。例えば今、公務員は法を犯したり、悪いことをしたりしない限り、ポジションが下がることは絶対ありませんし、給料が下がることもありません。これをやめて、業績を残せなければ下がることがあるという仕組みにしなければいけないと思います。
もう1つ、今、官僚は1つの文化に染まっています。しかし、新しい政策をやっていくことが官僚に求められているので、そのための新しいアイデアを出せる若手や外部の民間人の登用を可能にするような仕組みを作らなければいけません。そのために私が提唱しているのはJリーグ方式です。すべてのランクごとに順位を付けて、下の1〜2割は無条件で降格する、それによってポストが空くので、そこに若手や民間人を登用するという仕組みを提唱しています。
それから3つ目は、首相(官邸)主導の公務員の幹部人事の実施です。今は各省ごとに大臣が人事を行っているのですが、これだとだいたい官僚の側の圧力に負けて、官僚が作った人事案を実施することになるのですが、そうではなくするために首相が省の利益を超えた判断をして、人事を行うことが大事だと思います。
●電力会社が各業界を支配する構造
古賀 次に東京電力の問題に移りたいと思います。その中でも、東京電力などの電力会社が日本の経済界や政治、官僚、そのほかの社会的なプレイヤーとがどういう関係になっているのかという構造問題について話したいと思います。
経団連が最近東京電力を非常に擁護する発言をしていますが、まず経済界と電力会社の関係を見てみたいと思います。電力会社は各地域で最大級の調達を行う企業です。ですから、各地域の企業は電力会社に対して「大量のモノやサービスを売ってくれる」という量的な面で非常に依存していることが1つありますが、実はそれだけではなくて「非常に高く買ってくれる」ということが大事です。
なぜそうなるかというと、究極的には競争がないからなのですが、実は電力料金を決める仕組みに問題があります。電力料金は法律によって経済産業省が認可することになっています。その時の電力料金の決め方ですが、かかったコストを積み上げて、それにいわゆる適正な利潤というものを上乗せして決める仕組みになっています。
問題は適正な利潤というのはコストに一定の比率をかけて出すということです。いろいろ複雑な計算があるのですが、単純化するとそうなっています。ということは、かける比率は一定なので、利益を大きくするためにはコストを大きくしなければいけないという構造になっています。
これは普通の会社とまったく逆の構造です。従って、見かけ上は入札などの手続きを踏んで、安く調達しようとしていますが、基本的にはコストを高くしても何の問題もない、あるいは高くした方がいいというくらいの構造になっているため、電力会社と取引する企業から見ると、非常にいいお客さんになっているのです。
従って、電力会社に対して逆らうことはできなくなっている。そういう形で電力会社は経済界を支配しているので、経団連が例えば発送電分離に反対するというのは「そういうことによって競争が導入されて、電力会社がもし本当にコストカットを始めたら、自分たちの利益が大幅に減るだろう」と直感的に感じているからだと思います。
そういう形で経済界を支配しているのですが、政治も電力会社の強い支配を受けています。自民党の場合は電力会社の資金力と集票力、民主党の場合は電力総連という組合による選挙支援です。これによって電力会社を敵に回すと自民党も民主党も議員としての議席を失う可能性が高いということです。
次に官僚との関係、特に経済産業省との関係ですが、これは2〜3つのルートで電力会社が官僚を支配していると見ることができます。
1つ目は証拠があるわけではないですが、電力会社は大臣や有力な政治家を通じて人事に介入すると非常に強く信じられています。
2つ目は有名になった天下りポストの提供ですね。天下りポストがあるということはよく「規制する経済産業省の側が力が強くて押しつけている」と見られがちなのですが、そうではなくてどちらかというと「人質としてとられている」と考えた方がいいと思います。
3つ目は若い官僚にはあまり当てはまらないのですが、今、トップの層にいる経済産業省の官僚は昔から電力会社と仕事ではなくプライベートな世界での付き合いが長いことです。年中宴会をやったり、ゴルフに行ったり、視察旅行と称した旅行に行ったりという関係を長年続けてきた人たちが、電力会社のトップと非常に緊密な個人的な関係を持っていることがあります。今はいろんなことが禁止されていますが。それらの結果、経済産業省と電力会社の関係は緊張関係ではなくてむしろ共同体、同好会やクラブ的な関係になっていると言った方がいいと思います。
それからマスコミとの関係があります。電力会社は競争していないのであまり宣伝する必要はないと思うのですが、巨額の宣伝広告費を使っています。これによって、かなり多くのマスコミ企業やジャーナリストが自由に電力会社批判をしにくくなっているという現実があると言われています。それは企業に対する広告費という面ですが、いろいろ報道されている通り、個人的にもマスコミの関係者を旅行に招待したり、ケタ外れに高い原稿料や講演料、出演料を払うということが実際に行われているようで、私も知り合いのマスコミの方からそういう話をいくつも聞いています。
もう1つ、学会との関係があります。学会も同じように研究費の提供、あるいは原稿料や講演料といった資金的な援助を受けているという面、それから原発などは特にそうなのですが、各種データを優先的に提供してもらうという関係もあります。それから、自分が教えている学生を電力会社に就職させる面でも便宜を受けているという関係で、学会も支配していると言われています。
●電力会社が支配する構造を変えるために
今述べたように電力会社がさまざまな世界を支配している構造を変えていくための電力市場改革について簡単にお話しします。
1つ目がよく言われている送電と発電の分離です。送電網は基本的に独占的にならざるを得ないのですが、送電網を持っている会社が発電も独占しているということで、9電力以外の発電会社がほとんどビジネスの機会を奪われている構造を変えるということです。
2つ目は送電と発電を分離しても、今の状況では発電分野ではやはり今の電力会社、分割された後の発電会社が圧倒的なシェアを持ち、市場を支配する力を持ってしまうという問題があります。従ってこの発電部門は送電と切り離した上で分割することが必要になると思います。
3つ目は電力販売のことですが、今、小売りが一定の大きな規模(契約電力50キロワット以上)のところまでしか自由化されていないのですが、家庭まで含めて完全に自由化することが必要だと思います。こうして消費者は電力会社を選択できるようになることで、本当の競争が起きると思います。
そして4つ目に市場で本当に競争が起きているかを監視する機関が必要です。今、電力事業は経済産業省が所管して、全部見ているのですが、その競争についての独立した監視機関を作ることが必要だと思います。
●東京電力だけを悪者にしていいのか
――今後の電力会社の責任の取り方などについて、どのように考えていますか。
古賀 今の原発の状況がある程度収束するということを前提に、事故についての調査委員会も立ち上がっているので、恐らくここがいろんなことを調べていくと思います。その調査結果に応じてさまざまな責任追及がされると思います。
ただ、今、私が何となく感じているのは「東京電力をとにかく悪者にしてしまえ」という動きが非常に強くなっていて、東京電力、特に経営陣を悪者にすることによって、それ以外のところの責任をあいまいにしたまま、経済的に国民の負担を求めるという方向に行って、それで一件落着としようとしているのではないかと思いますが、それは許されないことです。刑事的な責任もそうですが、行政的な責任や政治的な責任も含めて、単に「東電けしからん」という感情的なバッシングで終わるのではなく、そこに関わった人それぞれの責任について客観的に評価して、しかるべき処分をしないといけないと思います。
それから、今、原発事故の賠償問題や、将来の電力市場をどうすべきかという話は経済産業省中心で行っているんですね。今の経済産業省の幹部は、基本的に自分たちがやったことをディフェンドしたいというインセンティブを持った人たち、あるいは自分たちの今までの利益構造を守りたいと考えている人たちなので、そういう仕事をやらせるのは非常に不適切だと思っています。
従って、経済産業省や原子力安全・保安院の幹部を1回入れ替えた上で、これからのことを考えていく仕組みにしないといけないと思いますし、経済産業省中心ではなく、やはり官邸中心で進めることにしないといけないと思います。
――具体的にはどのようにすればいいのでしょうか。
古賀 例えば、事故原因を検証するのに今、首相が任命した委員会が調査を行っているのですが、そういったことはむしろ国会が任命した独立の機関が行う方が多分正しいと思います。なぜなら、政府全体の責任を問う話なので、政府が任命した委員会では本来的にはできないことだと思うからです。
また、賠償も法律的には文部科学省の問題なのですが、実際は経済産業省の人が内閣に出向してやっています。人を全部入れ替えることが物理的に可能かというのもありますが、少なくとも全体を指揮する組織は、これだけ大きな問題なので国会が何らかの形で任命するような独立的な機関というのがもしできれば、その方が望ましいと思います。
――今までの日本の電力業界は政官財が共生して作り上げてきたと思うのですが、今後もその選択肢でいくことはできないのでしょうか。
古賀 非常に難しい質問だと思います。これは電力業界だけでなくて日本の経済全体についての非常に大きな質問になっているのだろうと思いますが、共生という言葉の定義にもよりますが、共生というのは非常にいい仕組みだと思うんですね。それぞれの善意を信じて、信頼関係を基礎において、みんなが協力して働くことで、緊張関係だと生じるはずのさまざまな取引コストをなくして、前向きの成果が得られるという意味で非常にいい仕組みだと思います。
多分その仕組みで今まで成功してきたのですが、逆にそれによる弊害も生まれますよね。競争が非常に少ないとか、そこに最初から入っていた人は利益を享受できますが、外から入ろうとするとなかなか入りにくいというデメリットもあって、今、どちらかというとメリットよりデメリットの方が大きくなっていて、今までの仕組みを変えなくてはいけないというポイントにきているのではないかと思います。
――『日本中枢の崩壊』で提唱されている東京電力処理策についての政治家の反応はいかがですか。また、東京電力処理策について、『週刊エコノミスト』に投稿される予定はありますか。
古賀 まず2つめの『週刊エコノミスト』に出す予定はあるかということですが、もう本にして出しているので、特にそういう予定はありません。それから参考までに申し上げますが、もう少し詳しくて新しいものが現代ビジネスで出ているので(「現職経産官僚が緊急提言 古賀茂明『東電破綻処理と日本の電力産業の再生のシナリオ』」)、それを参照していただければと思います。
政治家の反応ですが、「すばらしい」とわざわざ私にいろいろ言ってきてくれる政治家は結構います。みんなの党では渡辺喜美さんや江田憲司さんたちは私も直接お話をしていて、サポートしてくれています。自民党だと河野太郎さんは直接お話ししていますし、それから塩崎恭久さんや柴山昌彦さん、平将明さん、小泉進次郎さんともお話ししたのですが、非常に好意的な反応をいただいていて、そういう方々は今、私のアイデアも取り入れて、自分たちの案を作ろうという動きをしています。私は来週その会議に招かれることになっています。
民主党はちょっとまだ私がここで名前を挙げていいかどうかという判断ができないので、差し控えますが、若手の中では非常にいいということでコンタクトをとってこられる方もいらっしゃるということを言うだけで、お許しいただければと思います。また、今の閣僚たちでも私が直接会ってお話はしていませんが、私のペーパーの方がいいと言っているという話は間接的にかなりうかがっています。
●官僚の評価の仕組みを変えないといけない
――官僚は、政治主導の改革を受け入れるつもりはあるのでしょうか。
古賀 官僚は基本的に受け入れるインセンティブはないんですね。ですから、それを受け入れるインセンティブの構造に変えなくてはいけません。それが公務員制度改革です。
やらないといけないことはたくさんありますが、その中でも官僚の評価の仕組みが今までしっかりしたものがほとんどなかったのです。目標が与えられて、その目標を達成したかどうかによって評価されるのが普通ですが、私自身も経験していますが、そういう明確な評価が行われているという自覚さえないという状況にあります。それを根本的に変えなくてはいけないと思っています。
それをやるために一番大事なことは、首相がやるべきことをはっきり持っていて、各閣僚ごとに役割分担を決めて、その閣僚が官僚に対して具体的な目標を設定すること、これが非常に大事です。何となくやってくれではなくて、具体的に「いつまでにこういうことをやろう」という目標設定をしっかりした上で、半年〜1年ごとに評価していく。目標を達成できれば昇進するし、ダメだったら昇進できないという仕組みにする必要があります。
民主党が本当に信頼できる有能な官僚を選びたいのであれば、踏み絵になるような政策について目標を与える、例えば「天下りポストをあなたの所管の分野でいつまでに全廃しろ、半減しろ」という目標を与えれば、どのくらいやる気や能力があるか、非常にはっきりと分かると思います。
――日本ではなぜ公務員改革が問題となっているのですか。
古賀 ほかのアジアの国々のことについて私も詳しくは知らないのですが、経済が順調に発展している間は、あまりこの問題は出てこないと思うんですね。日本は今の仕組みで続けていくと、もう成長できないし、成長どころかどんどん下り坂を転がっていく状況になっている。そこから抜け出すためには、今の仕組みを大きく変えなくてはいけない時にきています。
そして、全体の経済のパイがほとんど大きくならない状況の中で仕組みを変えるということは、多くの場合、いろんなプレイヤーの取り分が減るということが実際に起きるということです。特に官僚というのは今のシステムに依存して自分の利益を守っているので、そのシステムを変えることに非常に強い抵抗を示します。
これがもし非常に順調に成長している時期であれば、システムを変えてもパイが広がるので、自分の取り分の増え方はほかの人より少ないかもしれないですが、依然として増える、あるいは最低限維持できるので、変革できるということがあります。しかし、今の日本は官僚の利益を維持しながらより良いシステムに変えることが不可能になっていると思うんですね。従って、それを知っている官僚はどうしても改革に抵抗することになるんだと思います。
――官僚と政治家の関係についてどのように考えていますか。また、同僚との関係はいかがですか。
古賀 官僚がある政府の政策を批判することは、普通はあってはいけないことかなと思います。ただ、そういう意味では私はいつでも官僚を辞める心の準備ができています。それは人事当局にもはっきり伝えてあります。私はだいぶ前になりますが、人事当局から「ちょっと待っておいてくれ。ポストを探すから」と言われました。実は私は1回辞めると言っていて、2010年10月で辞めることになっていました。
しかし、あの仙谷由人さんの恫喝と言われている発言があった時、大畠章宏経産大臣(当時)が私のことを辞めさせないという趣旨のことをおっしゃってしまったので、やめられなくなったというか、経済産業省もそこで辞めてもらっちゃ困るということでいったんそれがキャンセルされて、そのまま今日に至っています。
私自身の希望はもちろん「引き続き官僚として仕事がしたい」というのが一番です。ただ、仕事がずっと与えられない、要するに「あなたのポストはありませんよ」と言われるのであれば、これはもう辞めるしかないと思っています。「もしかすると、もうすぐそう言われるかもしれない」とは思っています。
同僚との関係という意味では、もちろん私が批判すると一番影響を受けるのは幹部なので、幹部クラスは恐らく私に対してあまりいい気持ちを持っていないだろうと思いますが、あまり直接言ってきません。「言うと危ない」と思っていますから(笑)。しかし、若手ではかなり私をサポートしている人は多くて、実は昨日の夜も随分遅くまで霞が関の改革を進めたいという若手が集まって、一緒に話をしました。そういう志のある若い官僚もたくさんいるということはお伝えしておきたいと思います。
【堀内彰宏,Business Media 誠】
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